マッドハッターがよかった。アリスが一番好きだったのだけど、この映画では、マッドハッターがいい。 ハンサムなマッドハッターもいいものだ。 すごくナイーブな演技で、シャイで、全然原作の変わり者とは違う感じ。目の動きで実は頭がいいのを隠しているのを見せたり、大胆に剣をふるったり、仲間へ思いやりを見せたり、目が離せない。 アンダーランドの住人は、人間も混じっていて、動物や怪物やら。それらが普通に会話したり手をつないだりするのが面白い。 マッドハッターが赤の女王に取り入って一室を与えられ、そこで縫い針やらメジャーやらもって帽子つくりに取り組んでいる部屋が楽しかった。布やら羽やら。 アリスが来て、赤の女王の帽子つくりでいいのかと目を覚まさせられて、正気に戻り、全部破壊するのだけど、(後で帽子が戻っている?) そのまま作らせてやればいいのにと同情した。 ”また、帽子が作れるとは思わなかった。”のセリフにはじーんときた。 帽子屋の象徴が、糸巻きやはさみだったりするのだけど、最初よくわからなかった。そうか、帽子屋も、裁縫屋なんだとだんだんわかってきたけど、それだったら、私と同じで、そうか、私は帽子屋なんだと思ったりした。 帽子屋はずっと、フェルトを圧迫して型抜きするのだと思っていたけど、やっぱり、切ったり貼り付けたり飾ったりするみたいだ。 ハットピンをいくつか持っているのだけど、使い方が不明だったのだが、帽子屋は、リボンに指している。それで使い方はいいのだろうか?気違い帽子屋だから、あっているのかわからない。 あと、楽しかったのは、ジャバウォッキーとアリスの戦い。 原作のテニエルの挿絵にある通りの廃墟、古城が出てきて、階段をアリスが駆け上がったりするのが面白かった。 挿絵では、戦う美騎士の姿が書かれているけど、あれは、美青年なんだなと思っていたのだけど、実はアリス、というところが面白かった。そういえば、似ているし・・・。テニエルもそのつもりで書いたのだろうか? 廃墟はもしかしたら、チェスの駒のお城なのだろうか。チェスのルールを知っていたら、もっと面白いのかもしれないけど。 あとは、アリスの衣装だけど、途中で赤の女王の城にいる頃は、女王のカーテンを使っているので、赤くてハート型がついているらしい。映画ではよく見えなかったので、後で、写真やDVDが出たらひとつひとつ確かめてみたい。 あと、ドレスの裏地とか、壁紙とか、いろんなところにウィリアムモリスのような小花模様と鳥やかえるを使った模様が描かれていて、それらをひとつひとつ見るのも楽しい。 アリスの話は、お菓子とか食べることがよく出てくるはずなのだけど、そのあたりが全然出ていない。 ジャックが飲みかけた紅茶と、かえるの口についているジャムぐらいだ。もっと、お菓子をちらして欲しかった。 マッドハッターのお茶会の机の上はごちゃごちゃしてて面白くて、また、ひとつひとつ見てみたかった。 ジャックが飲みかけた紅茶がほかほかでゆげが出ていて、冷えていないのが、不思議。 森の中でずっとお茶会をしているところが面白いのだけど、 白の女王の勝利で、正常に戻るとすると、お茶会も終わるのだろうか。帽子屋もまた、帽子屋に戻るのだろうか。 サイズや上下が気になった。 アリスが地下にまっさかさまに落ちたとき、途中で上下がひっくり返るのだけど、館内にいた子供が、さかさま?と、叫んでいたけど。 赤の女王や白の女王はチェスの駒だから、アリスは実際はもっともっと大きくて、で、原作では、最後は実は、こんなに私はでかいのよ、あなたたちなんか、一組のトランプじゃないの、と、言うところが鏡の国のアリスにはあるのだけど、そうやって、チェスの駒やトランプ兵なんか、ちっちゃくて怖くない、というのが子供ながらに胸がすっとするところなんだけど、 映画では、その大きさで恐怖や視点が変わる面白さが描いてなかった。 赤の女王の城でアリスだけサイズがでかいのだけど、そこで描いているのかもしれない。小さな椅子に腰掛けて、おもちゃの城でもてなされる子供みたいにアリスが見える。 ところどころ、ドールハウスやミニチュアのお城の中にアリスがいる、というふうに見たら、また、楽しいかも。 アリスの回想シーンで、子供のころのアリスが出てくるのだけど、とてもかわいいし、お茶会とかいろんなシーンで、アリスのサイズがぴったりあっている。 大人になったアリスは、最初は小人サイズで出てくるのだけど、そのサイズだと、かわいいけど、大人サイズだと、ちょっと違和感があるか。 帽子屋が、いつも、君はちょうどいいサイズではない、というところがあって、それは、体のサイズなのか、年のサイズなのか。 なんか、その言葉の中にロマンスが芽生えるのかと思ったのは勘違いだったのか。 もう一回見に行く予定なので、また、新しい発見があるかもしれない。 |