悩むクリームチーズケーキ。 レディなストロベリーショートケーキ。 前脚折れたモンブラン。 最高のマジシャン、フルーツタルト。 彼ら、彼女らのステージは。 銀のスプーンが合図する。 アイ、オイ、ヨイ。 大丈夫、 パンプスを三回、鳴らすだけ。 |
油断だ。 思いあがりだ。 斜めの一瞬の傷。 誰からも理解されない跡。 深淵。 無音でいたい、ただひたすらに。 |
息継ぎをしないでバタ足だ。 ひたすらプールの底をみながら、 泡も、木の葉も、白いラインも、ビートバンのカケラも、消毒の匂いも、喧噪も。 通り過ぎていく。 まだ呼吸しない。 まだ呼吸しない。 耳の奥が、シン、として きっと書ききるまで。 |
気持ち悪い。 うごめく。 真っ白のヘッドフォンで 耳を塞ぐ。 機械の羽みたいに、 ギシギシとかみあわさって、その後は 堕ちるんだ。 簡単だよ、Zipperおろせばよかったんだ。 その先を考えたくなかった。 だって全部全部、 夏だったんだから。 わざと踏み外したんだ。 空模様がみたくて。 天気予報なんて、 あてにならないから。 |
永劫、 なんてないかもしれない。 渇いてしょうがない。 水に濡れたらただ濃い灰色になるだけで。 すごくすごく、虚しいこと。 シャンパンゴールドのダイヤを持っていたこと。 でも、 いつの間にかどっかへ行っていたこと。 歩きながら、 どうやって歩けているのかつい考えてしまうこと。 幸せだったこと。 反芻すること。 愚かだったこと。 夏の予定のこと。 脚が、もう半透明。 泡になること。 |
青い、 青い、 粉が入ったラインカーで線を引いた、 テニスコート。 あれはクラクラする位、 気持ち悪かった。 サングラスも、 世の中の色が変わるから、 苦手だった。 置き去りにした、 ノートの四隅に、 嘘を書いて折り曲げる。 夏だったね、 そんな話を書きたい。 あと二ヶ月。 |