もうずいぶん昔の話。 とある落語会に行った。 お目当ては立川談志の噺。 時期はちょうど今頃の師走。 演目は期待通りの「芝浜」。 談志師匠の十八番だ。 当時の私はまだ世間知らずだった。 終演後の楽屋で出待ちを。 (今ではさすがにそんな無礼な事はしませんよ・・・苦笑) そして出てきた談志師匠にサインのお願い。 お疲れのはずなのに師匠は快くサインに応じてくれて、こんな事を言ってくれた。 「俺のはなしは馬鹿にはわからないんだよ」と。 私は「ハイ!、ありがとうございます」と言っては見たものの、言葉の真意はよく理解していなかった。 あれからどれだけ経ったのだろうか。 NHKの9時のニュースで冒頭で取り上げた談志師匠、死去の報道。 その瞬間「あぁ、もう談志師匠の「芝浜」が聴けなくなるのか」と思った。 そして、ひとつの時代が終わったような気がした。 心よりご冥福をお祈りします。 |